中年研修医の日記



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Jay

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神奈川県内の病院に勤める中年研修医
僻地病院で研修中



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延命治療
所かわれば医療に対する考え方も違うのは当然だと思う。考え方が違うにせよ、やはり延命治療に関してはこの僻地でも大きな問題だ。

地元出身の看護婦さんに聞けば、10年位前までは高齢者が具合悪くなって入院した場合、危険の状態になったら無理な延命措置を望む人はほとんどいなかったそうだ。

無理な延命措置と一言に言っても個々の患者さんの状態によって何が無理だかは違ってくるのだが。。。


たとえば脳梗塞で何年も身動きが取れない人が入院してきたとする。こういう人の多くは自分で食べられないため、胃瘻と言って胃に直接チューブを入れた状態で流動食を流し込む方法を取っている。

身動き取れない人の胃瘻は、誤嚥性肺炎が日常茶飯事だ。体を維持するのに十分な流動食を入れるため、朝昼晩、それぞれ500cc程度の流動食を入れる。いくらゆっくり入れると言っても、500ccも胃に液体が入れば、しばらくは誰だってタプタプしている。2、3時間たっても胃内にそれが残っていることも普通だ。ゲップや咳をすればすぐ逆流してくるし、胃腸炎にでもなって嘔吐したら一発で誤嚥性肺炎になる。

こういう経過をたどってどんどん弱っていくのが普通だ。どんどん痰は多くなるし、肺炎を繰り返せば肺の機能自体著しく落ちる。



こういう人が再度肺炎になったらどうするか?

治療としては、抗生剤、酸素マスク、経管栄養ストップして点滴栄養に、といったことが一般的だ。



それでも体に十分に酸素が回らなくなったら?・・・さっきの看護婦さんによれば、10年ほど前なら、あぁそれは寿命ですね、と納得してくれたようだ。

しかし、この地方では、最近は、人工呼吸器だの、心臓マッサージだの、中心静脈栄養だの・・・なんとなく聞いたことのある延命措置を希望する家族が極めて多い。


先日来た救急車、90代の女性は朝、自宅で倒れて意識がなかったそうだ。それから、救急車が来るまでに30分、病院につくまで30分。見た瞬間に脳卒中とわかる状態で、何とか呼吸を安定させて頭のCTを撮ったときにはどうしようもないほどの脳出血、脳室穿破といって延髄まで出血が流れ込んでいる。

「治療をしても半日ももたない状態です。」数人の家族、親戚の前で話すと、そのうちの一人が

「人工呼吸器つけてでも何とか・・・」

ナントカ何をしたいのだろう。もう少し時間がたてば脳ヘルニアになって自発呼吸がなくなる。無理に人工呼吸器をつければそりゃぁ呼吸はするだろう。しかし、そんな状態で呼吸をしていてなんになるんだろう?回復する見込みは全くない。全身の痙攣がでる可能性が高い。そして、心臓と肺が丈夫なら、数週間はその状態で保ってしまう。

そうなると、栄養を入れるために中心静脈栄養、大量に抗痙攣薬を使い、必ずなる肺炎のために抗生剤を使う。輸液に心臓が耐えられなければ、あっという間に浮腫になり体中ムクムクになる。それを改善するために利尿剤を使い、すると血圧が下がったり電解質異常が起きたりしてそのための薬を使う。

いかなることをしても、再び自分で呼吸することはない。

このときは、ほかの家族がみな反対したため人工呼吸器装着なしとなった。そして、1時間後に呼吸が止まった。


「人工呼吸器を・・・」

こう言い出すのは、多くは患者さんの実子ではなく、そこの家のお嫁さん、もしくは同居していない親戚だ。さっきの看護婦さんいわく、「あそこの嫁は人工呼吸器までやったからやることはやったんだ」などといわれるそうだ。

生きていてほしいからやっているとは思えない。簡単な処置だったら、無意味な延命措置だと思っていても、やることはある。しかし、人工呼吸器、中心静脈栄養など、それは治る見込みのない人のために行う医療ではないと思う。

こういう状態の人が心臓が止まったら人工心肺を使うか?腎不全になったら人工透析を行うか?これらはみな、適応が決まっている。簡単にやれるものでもないし、そもそも保険が通らない。

人工呼吸器や中心静脈栄養程度だと、保険は通る。そして、高額医療だから、実費としては月に50万ぐらいかかっても、家族の支払いは5-6万で済む。

再びこの話だが、年金をもらっている人ならその年金だけで十分出てしまう。

実費にしたら、どれだけの人が、この延命措置を望むのだろうか。病院の肥やしになるから、医療者側としては、やるメリットはある。しかし、僕は本当に無駄だと思う。




最後まで読んでくださった方
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テーマ:研修医のお仕事 - ジャンル:就職・お仕事


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【2009/11/18 00:18】 | #[ 編集]


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